モンゴルの大地をエコでキレイに、バイオトイレ製造の正和電工
し尿をおがくずで処理するバイオトイレ製造の正和電工は日本貿易振興機構(ジェトロ)の支援を受け、製品をモンゴルへ輸出する。同国で公衆トイレの設置を計画する現地コンサルティング会社を通じて年内にも出荷を始める。当面は100台を出荷し、約2億円の売上高を見込む。現地で衛生的なトイレの普及を目指す。
金融や不動産などのコンサルを手掛けるアイボ・インベストメントの幹部が1月下旬に正和電工を視察し、「モンゴル政府と協力して今秋から毎月数台ずつ設置したい。2020年秋まで続けたい」と申し入れた。
2月にはアイボ社の幹部が同国政府の自然環境・観光大臣に説明。中旬には「バイオラックスS75型を買い取りすることになった。台数は最終的に決まっていないが、100台という数量が出ている」との連絡が正和電工にあった。契約締結に向け2月中にも詰めの商談を始める予定だ。
正和電工のS75型は処理能力が大きい業務用で、観光地の公衆トイレなどでの利用を想定し1日約120~150回使用できる。1時間当たり約20人が使える設計にしている。
同社のバイオトイレはおがくずを入れた槽を便器の下に設置し、し尿とおがくずをスクリューで混ぜる。その過程で水分は熱で蒸発し、有機物は微生物が分解し、臭いも消す。おがくずの交換は年数回で済む。下水道設備のない場所でも設置できる。
モンゴルでは首都のウランバートルでも上下水道がない地区があるほか、草原での移動式住居(ゲル)や観光宿泊施設では穴を掘って柵で囲った素掘りのトイレが使われることがある。住民の生活向上や観光振興に衛生的なトイレの需要が高いという。
アイボ社はS75型のほか、1日50回前後や100回弱使用可能な低価格タイプの導入も検討している。正和電工の橘井敏弘社長は「洋式、和式の両方に対応できる新製品も提案したい」と意気込む。
中小企業の海外進出を支援するジェトロの「新輸出大国コンソーシアム」の担当者が1月の視察を仲介した。今後もモンゴルでの市場開拓や政府関係者との面会、輸出手続きなどで正和電工を後押しする。
正和電工はベトナムや中国、フィリピン、インドネシアなどに製品を出荷した実績があるが、定期的な輸出にはいたっていない。モンゴルは定期的な輸出先になり得ると期待している。同社の2017年8月期の売上高は約2億4300万円だった。