おがくずで駆除動物処理 旭川の正和電工、分解装置を開発
水を使わないバイオトイレ製造販売の正和電工が、エゾシカなど駆除動物を分解処理する装置を開発し、道内外に売り込みを掛けている。 同社のバイオトイレの特許技術を生かし、おがくずのみで処理が可能で、環境に優しい装置として注目を集めている。
分解処理装置は、おがくずに含まれる微生物が、し尿を分解するバイオトイレの仕組みを活用。酪農学園大学(江別市)の協力を得て実証実験に取り組み、商品化した。
駆除動物の死骸をヒーターで加熱した処理槽にそのまま投入。金属製のスクリューを回転させて切断しながら、おがくずで分解処理し、水分を蒸発させる仕組みだ。 死骸は約2週間で消滅する。大型動物は太い骨が残るため、骨専用の破砕機も開発した。
福井県大野市が昨年、全国に先駆けて装置2台と破砕機1台を導入。農作物被害が深刻なイノシシやシカの処理に活用している。 死骸の焼却処理費や埋設場所に悩む石川県輪島市、同県珠洲市でも導入を検討している。
同社は1995年、バイオトイレを開発。し尿の9割を占める水分を蒸発させ、残る有機物の大半も微生物が分解する。 水を使わず、おがくずの脱臭効果で臭いもないうえ、使用後のおがくずは有機肥料として活用できる循環型が特徴だ。
年間200~300件の受注があり、これまでに旭川市旭山動物園、大雪山系黒岳、知床半島、富士山、ベトナムの世界遺産ハロン湾など国内外に設置された。 観光地やイベント会場、作業現場のほか、東日本大震災の被災地でも活躍した。下水道がないアジアや欧州、アフリカ、中南米などの国からも視察が相次いでいる。
同社はバイオトイレとともに、生活雑排水を木炭を利用して浄化する装置も開発。橘井敏弘社長は「公共の下水道は、設置や管理に多額の費用がかかる。 バイオトイレと浄化装置を組み合わせることで、下水道不要の生活環境が可能になる」と話している。