お知らせ・ニュース News
メディア掲載情報
北海道新聞に弊社が掲載されました 2019.2.14

「水頼みには限界」方策探る

 5人家族が水洗トイレで1日に流す水の量は240リットル。家庭の浴槽1杯分になる。「その水を毎日トイレから汚水管にじゃぶじゃぶ流している」。バイオトイレの開発・販売を手がける正和電工の橘井社長にこんな話を聞いた。
 米国の特許も取ったバイオトイレは、水が一切不要だ。し尿は便槽のおがくずに染みこませて水分を蒸発させ、微生物で分解。大腸菌は熱で死滅させる。「困り事を解決するのが発明」と旭川発明協会会長も務める人は言う。東日本大震災後は、下水道施設が破壊された被災地向けに3万円台のバイオトイレを開発。台所や風呂から出る生活雑排水を木炭で浄化する装置も生み出した。
 下水道に頼らず、環境も汚さない。橘井さんは「人類が求める処理方法」だと考えている。
 日本ユニセフ協会によると、世界の人口の3分の1近い23億人がまともなトイレを使えず、9億人近くが野外で用を足す。そして1日800人以上の子供たちが下痢性疾患で命を落としている。「安全な水とトイレを世界中に」は国連が採択した持続可能な開発目標(SDGs)の一つだが、下水道の完成には多くの時間と莫大な費用がかかる。流す水の確保も難しく、すぐには命を救えない。水を制してビジネスを制しようとする利権絡みの風潮に拍車をかける。「人間という動物が異常繁殖して、水環境を汚してきたのではないのか」。橘井さんは憂える。水の要らない技術が地球を救うかもしれない。