バイオトイレ 下水道処理区域内でも設置可能
正和電工(橘井敏弘社長)が製造・販売しているオガクズを使用し、微生物で糞尿を分解するバイオトイレが下水道処理区域内でも設置できるようになった。
これまで、下水道が敷設されている区域内では、バイオトイレを設置することができなかったが、国土交通省住宅局は今年十月一日付で「バイオ便所の建築基準法上の取扱いについては、くみ取便所の規定を適用するものとする」と各都道府県建築行政主務部長宛に通知した。
同省は通知の中で「国土交通省では令和元年度(二〇一九年度)より建築基準整備促進事業を活用したバイオ便所の構造や運用状況等に関する実態調査を行い、バイオ便所に対し、従来のくみ取便所の基準以上に要求すべき事項があるかどうかについて検討を行ってまいりました。その結果、バイオ便所は従来のくみ取便所と同様の取扱いができることが確認されました」としている。
橘井社長は「ここ二十年ほどの間に、内閣府規制改革推進室や国交省下水道企画課の職員が小社を訪れ、バイオトイレの設置状況やメンテナンスの方法を確認して行きました。私も十二回にわたり下水道処理区域内で水洗便所以外の便所も設置できるよう国に要請してきました。それがやっと認められた。画期的なことです」と語る。
来年四月から、上下水道料金が改定される。老朽化による給排水管の交換費用に充てることが大きな理由だ。
橘井社長は「これからのトイレは個別・分散・少量がキーワードとなる。広範囲に下水道管を敷設しなくてもいいようにすることが肝要だ。また東日本大震災で見たように、震災が起こると、断水や下水道管の損傷でトイレが使用できなくなる。避難所はもちろん耐震構造の高層ビル、マンションでも断水になれば水洗トイレは使用できなくなる。バイオトイレは水を使わず、微生物がその場で糞尿を分解してくれる。ビルやマンションなどは耐震とともに、バイオトイレを設置することで災害に強い建物になる。もちろん環境にも良い」とバイオトイレの有用性を強調する。バイオトイレをまち中でも設置できるようになったことで、市民の選択肢が広がったことは確かだ。