正和電工、本州への出荷続く「駆除イノシシの分解処理」に実績
バイオトイレ製造販売の正和電工(本社・旭川、橘井敏弘社長)が開発し、受注生産している「駆除シカの分解処理装置」の本州への出荷が盛んだ。
2018年3月までに、福井県大野市に2台と宮城県村田町に1台を出荷したのに続き、今年11月30日も石川県輪島市に3台を出荷。今後、21年3月までに石川県珠洲市と同県穴水町、宮城県丸森町に各2台が出荷される予定だという。
駆除したシカなどの野生動物をオガクズの入った処理装置に入れると、骨だけを残して分解される。これまで出荷した処理装置は、主に駆除したイノシシの分解処理が目的だという。
この分解処理装置は、農林水産省の鳥獣被害対策の情報を集めたホームページに掲載されている。
オガクズを用いて糞尿を分解処理するバイオトイレを製造販売している同社が、駆除したシカの処理装置を開発したのは16年。当時、駆除シカの処理方法は、大半が「埋める」か「燃やす」のどちらかだった。橘井社長は「糞尿の次に生ゴミ処理機を開発した時、処理に困っている駆除シカにも応用できるとヒントを得て、開発に取り組んだ」と説明する。
駆除したイノシシの処理に困っていた、当時の福井県大野市の市長が来旭し、同社に実証実験を依頼。17年1月、同市に分解処理装置一式を持ち込み実験がスタートした。
その結果、体重80~100㌔のイノシシが8~9日で処理された。18年、1ヵ月に35頭の処理能力があるという報告書が作成された。19年、同市は処理装置2台を購入。宮城県村田町が同市を視察し、1台を購入した。
10月30日に出荷する分を含め計9台は、農水省のホームページからの情報などで大野市と村田町で稼働している同装置の処理状況を視察し、購入を決めたという。この処理機の購入には、国から55%補助金が出る。
橘井社長は「本来、シカ被害が多い北海道での使用を目的に製作した。駆除したシカの処理に悩んでいる自治体は少なくないと聞いている。駆除イノシシの処理実績が確認されているので、シカの処理にも活用してもらいたい」と期待する。
この処理装置は正和電工の指定工場、道北機械(本社・旭川、三井愛夫社長)で製作されている。価格はCK-600型 19,800,000円。大きさは幅1230×長さ7200×高さ1537ミリ。重さ約4トン。