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北海道新聞に弊社が掲載されました 2020.11.14

道産トイレ インドを救え

 コンクリート製品製造大手の会沢高圧コンクリート(苫小牧市)は工期を短縮できる3次元(3D)プリンターを活用し、上下水道と接続しない「オフグリッド(独立型)トイレ」を開発した。公衆衛生活動の推進などを掲げる国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を実践するため、野外で排せつする人が多いインドでの普及を目指す。

 同社によると、3Dプリンターを用いた小規模建築物は国内初で、トイレは同社深川工場で製造した。3Dプリンターは、パソコン上でデザインした立方物をそのまま造形する装置。部材の輸送の減少や、それに伴う二酸化炭素(CO2)の削減などが見込まれ、欧州などで実用化が進んでいる。同社は3Dプリンターを研究開発するオランダのベンチャー企業「CyBeConstruction」とライセンス契約を結んでいる。
 トイレは円筒形で直径3・7メートル、高さ2・7メートル。外装は、プリンターに接続したロボットアームから、特製のモルタルを層を重ねるように吹きつけ、内側にはコンクリートを充填。従来だと難易度が高い凹凸のある曲線形状を実現した。
 SDGsは「2030年までに誰もが衛生的なトイレが使える」という目標を掲げている。インドでは全人口の約2割を占める約3億人が野外で排せつし、年間約80万人の子どもが汚染水による下痢などで死亡している。同社は、現地で簡易水洗トイレの普及を進める非政府組織(NGO)「スラブ・インターナショナル」の取り組みを知ったことなどから、今回の事業を開始。8月に社員が現地を視察するなど準備を進めてきた。
 トイレ本体は、正和電工(旭川市)が開発した便槽内におがくずを入れて排せつ物を処理し、肥料として活用する「バイオ型」を使用。空気中の湿気から水を生成する装置も設置し、郊外での上下水道が未整備なインドの状況に対応した。
 トイレ1基は、スラブ・インターナショナルに寄贈し、将来的な普及につなげる。同社の会沢祥弘社長は「3Dプリンターのような最先端技術を応用し、国際課題の解決につながる幅広い事業を進めたい」と話す。