正和電工「駆除シカの分解処理装置」農水省のHPに掲載
正和電工が、開発した「駆除シカの分解処理装置」が、農林水産省が取り組んでいる鳥獣被害対策の情報を集めたホームページに掲載されることになった。
オガクズを用いて糞尿を分解処理するバイオトイレを製造販売している同社が、駆除したシカの処理装置を開発したのは2016年。当時、駆除シカの処理方法は、大半が「埋める」か「燃やす」のどちらかだけだったという。橘井社長は「糞尿の次に生ゴミ処理装置を開発した時、処理に困っている駆除シカにも応用できるとヒントを得て開発に取り組んだ」と説明する。
駆除シカを装置内に投入すると、オガクズが骨だけを残して分解する。
この情報を聞きつけて、駆除したイノシシの処理に困っていた、当時の福井県大野市の市長が来旭し、同社に実証実験を依頼した。17年1月、同市に装置一式を持ち込んだ。10月まで行った実験では、体重80キロ~100キロのイノシシが、8~9日で処理された。18年、1カ月に35頭の処理能力があるという報告書が作成され、翌19年、同市は正和電工製の処理装置2台を購入。宮城県田村町が同市を視察し、1台を購入している。
農水省農村政策部鳥獣対策・農村環境課の担当者は、同省のホームページに正和電工製の分解処理装置を掲載することになった理由について、「駆除した鳥獣を処理するために国の交付金を受けて実施している全国自治体から集めた、実証例の中から選出しました」と説明する。今月中旬から、鳥獣被害対策コーナーに掲載されるという。
装置は2種類あり、①1回にシカ2頭~6頭(90キロ~270キロ)、月に35頭を処理する型が、1,980万円(税別)。②シカ1頭~3頭(45キロ~135キロ)、月に17頭を処理する型が、1,200万円(税別)。残った骨を粉砕する骨専用粉砕機は360万円(税別)。大野市は粉砕機も購入している。