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北海道新聞に弊社が掲載されました 2016.3.12

マンホール式、国が整備へ 本年度中に指針

 日々の生活でなくてはならないトイレ。2011年の東日本大震災では、停電や断水、配水管の故障などで多くのトイレが使えなくなり、排せつの悩みを抱える地域が相次いだ。災害時のトイレ事情は健康や衛生に直結する。状況を改善するにはどうするべきか―。今後を見据えた取り組みが始まっている。

 「下水道は使えないし、悪臭がひどかった」。昨年末、群馬県の前橋赤十字病院で実施された医療関係者らの研修。NPO法人「災害医療ACT研究所」(宮城)の森野一真代表理事らが東日本大震災の避難所のトイレの紹介をした。

 水が流れず、大小便の山となる便器が続出。プールの水をバケツリレーで運んだ学校も相次いだが、配水管の詰まりや下水処理施設の損傷があれば排水できなかった。名古屋大の調査によると、3日以内に仮設トイレが避難所に行き渡った自治体は34%にとどまる。仮設トイレが置かれてもバキュームカーを確保できずに汚物をくみ取れなかったり、屋外にあるためお年寄りや女性が使いづらかったりした。

 トイレに行くのをいやがって水分を控える人が多く、エコノミークラス症候群や脱水症状などが指摘された。
 「現地のトイレ事情は1995年の阪神大震災の状況とほとんど変わっていなかった」と兵庫県の担当者。同県は14年、避難所などのトイレ対策の手引きを作成し、「安全面を考慮し、人目につきやすい場所に災害用トイレを設置」などの留意点を掲げた。
 国土交通省は、マンホールの上に簡易な便座や仕切りなどを設けて使う「マンホールトイレ」の整備を本格化する。東日本大震災でも宮城県東松島市などで使われて、悪臭や段差がなく好評だったといい、指針を15年度内に出す予定だ。

 ただしマンホールトイレにも弱点がある。下水道が通常通り、使えることが条件だからだ。04年の新潟中越地震では下水管が各地で破断、住民は水洗便所を使えずに苦しんだ。地中の下水管の裂け目は見えにくいため、知らずに使って汚染が広がる可能性も指摘されている。