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環境新聞に弊社が掲載されました 2017.5.31

ベトナムクアンニン省代表団、旭川市来訪

 ベトナムのクアンニン省人民委員会と行政機関の幹部、現地企業から成る視察団は11日、正和電工を訪問し、同社のバイオトイレ「Bio-Lux」と水浄化装置「Bio-Lux Water」を視察、その後技術協力の覚書を交わした。翌12日にはクアンニン省と旭川市、旭川商工会議所が農業・産業分野における技術協力に関する覚書を同市役所で締結した。

 ベトナムの東北部、中国と国境を接する海沿いに位置するクアンニン省。人口は約120万人で、石炭などの鉱業が主力産業だが、ハロン湾がユネスコ世界自然遺産に認定されたことで、観光客が毎年800万人以上訪れるなど、観光業も柱となっている。観光施設に水処理施設がなく、水質汚染が深刻。同省では、その対策として、し尿をおが屑によりバイオ処理するトイレを設置することにした。将来的には雑排水もバイオ処理することを目指している。この方式は、処理物をおが屑と混ぜて撹拌し堆肥化するもので、処理剤が不要で排水が出ない。し尿処理施設のない途上国向けの技術である。
 バイオトイレと水処理で実績がある正和電工が、2013年度外務省政府開発援助海外経済協力事業委託費の案件化調査に採択され、同年11月から「ハロン湾における分散型排水処理システムを活用した水環境改善調査事業」としてバイオトイレと、生活雑排水もバイオ処理するシステムの実証事業に取り組んでいる。これまで不具合はなく、クアンニン省人民委員会から、この装置を現地生産し、本格導入したいとの要望があった。今回の来日は14年度の中小企業海外展開支援事業の一環。

 正和電工の橘井社長は「当社屋は2000年に建設され、当初からバイオトイレを設置、自宅は20年前からバイオトイレを設置しているが、現在も順調に稼働している。雑排水処理装置も12年に開発し自宅に設置、処理水のCODも月1回測定し10mg/Lときれいに浄化されている。バイオトイレはこれまで2500台が国内外に設置されているが、処理能力の違いで機種が多く開発されており、導入する環境に応じてさまざまな製品を提供できる。普及実証事業はこれまで不具合はなかったが、今後ベトナム企業が生産するようになると最初は稼働しない物も出ると思うので、品質が安定するまで、日本製と併せて使用して欲しい。まず装置の仕組みを理解し、安定した製造やコストダウンには技術力向上が必要である」とベトナムに適した製品を提供するための仕組みづくりを検討中であることを明かした。
 ハウ氏は「ベトナムの工場に日本の技術者を呼んで製造工程を見てもらい、品質を上げることを考えている。バイオ処理は電気の使用量が課題であることから、省エネ対策や太陽光発電の利用なども検討したい。また現地でのトイレの使い方の違いを考慮して生産する必要があり、学校に導入し教育することで使い方を向上させる計画もある」と述べた。

 ベトナムとの技術支援に実績のある長大はクアンニン省ハロンにおいて、正和電工がバイオ処理した後の堆肥を活用した農業生産による産業構築を目指しており、昨年末から旭川市商工会議所会員企業と同省企業とが相互訪問を行い、民間ベースで交流を行ってきた。今回のクアンニン省人民委員会と企業の来日を機会に、旭川市の企業が持つ技術を活用するため、市と商工会議所との結びつきを深めることになった。
 西川市長は「旭川市は北海道第2の都市で人口34万人。優秀な技術を持った企業が多いので、正和電工が進めている交流を農業分野、機械関係、教育分野などに広げ、経済・人の交流から文化交流まで進むことを期待している」と述べた。調印式には橘井社長と、農業機械製造エフ・イーの佐々木通彦社長も市内企業代表として参加した。