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あさひかわ新聞に弊社が掲載されました 2017.5.16

正和電工のバイオトイレ ベトナムで現地生産へ

 バイオトイレの製造と販売の正和電工に11日、ベトナムのクアンニン省人民委員会幹部らが訪れ、同省への本格的なバイオトイレなどの導入に向け、工場と製品を視察した。
 正和電工は2013年から外務省15年からJICAの委託事業として、バイオトイレと排水などを処理する新浄化装置をベトナムの世界自然遺産ハロン湾(クアンニン省)の周辺施設や船舶、一般家庭に約40台設置して、実証実験を行ってきた。その結果が良好なことから、同省がバイオトイレと新浄化装置の本格的な導入を要望。今回の来旭は、クアンニン省でのトイレ普及拡大に向け、同社の技術指導のもとで、現地生産を行うことを目的にした覚書を交わすことなどが目的。同社とベトナムとの仲介役を務めた開発コンサルタントの長大(東京)がベトナム関係者を旭川に招いた。

 ベトナムからの一行はクアンニン省人民委員会のダン・フィ・ハウ委員長代理ら幹部のほか、トイレの製造を行うエンヴィテック社、トイレの維持管理のウィプス社の社長・副社長ら21人。
 一行はバイオトイレや新浄化装置が置かれている同社工場で橘井社長の説明に熱心に耳を傾けた。
 ハウ委員長代理は「使用後、トイレ内にトイレットペーパーや新聞紙を入れても大丈夫か」「(糞尿を分解する)オガクズの代わりに籾殻(もみがら)を入れてもいいか」などと質問。橘井社長は「トイペも新聞紙も分解される」「籾殻だけだと、オガクズの3分の1の効果しかないが、オガクズと籾殻を7対3の割合で混ぜると、オガクズと変わらない効果がある」と答えていた。
 一行は多種多様な形態のバイオトイレや新浄化装置の説明を一つずつ受けながら、工場内を約1時間半をかけて回った。工場の見学後、同社会議室で同社と長大、エンヴィテック社、ウィプス社の4社による現地生産に向けた覚書の締結が行われた。
 それに先立ち、ハウ委員長代理から「工場を見学させていただき、それぞれ感じた課題を出し合い、問題点を明らかにしてはどうか」と提案があった。
 橘井社長は「現地生産の目的は、製品の低価格化と現地に合った製品への改善を図るため。エンヴィテック社の製品を見せてもらったが、課題が多いと感じた。設置するバイオトイレが複数の場合、そのうち必ず1台は日本製のものとし、故障があった時の参考にしてもらいたい。ベトナム製が軌道に乗るには3年から5年かかると見ている。15日からエンヴィテック社の技術者らが来旭して、当社で技術指導を受けることになっている。バイオトイレの基本的な知識を身に付けてもらいたい」と話した。
 ハウ委員長代理は「私見だが、ベトナムは暑く、糞を分解する時にも熱が出るだろうから、暑さ対策をどうするかが問題となるだろう。バイオトイレのスクリューを回す時に使う電気代が家庭にとって負担となることから、何らかの対策が必要だ。このプロジェクトが成功するよう支援していく」と答えた。

 翌12日、ベトナム・クアンニン省の幹部らは旭川市役所を訪れ、市や旭川商工会議所と農業や環境分野などで都市間・企業間の交流を行い、先進的な技術の取り組みを支援するという内容の覚書を交わした。
 また、旭川市内の企業4社とベトナム企業4社、それに開発コンサルタントの長大の9社が、農業コンソーシアム設立に向けた覚書も交わした。
 市経済部によると、JICAなどの委託を受けた企業の海外事業で、その企業だけにとどまらず、企業所在地の自治体や経済団体、他企業などと、各種協定の覚書を交わす例は旭川では初という。