女性も安心 避難所トイレ バイオ消臭、センサーライト、警報ベル
旭川の企業開発 細かい配慮随所に
排せつ物をおがくずにかき混ぜ、微生物の力で分解処理するバイオトイレを製造・販売
する旭川市の正和電工が、大規模災害時に避難所で活用できるコンテナ型の公衆トイレを
開発した。災害時に不足しがちな水が不要なことが強みで、電気さえ確保できれば、にお
いもほとんどない。1日に400回の頻度で使っても、おがくずの交換は4カ月に1回程度で済
むという。女性目線で開発され、細かな工夫も施されている。【横田信行】
正和電工は1955年、バイオトイレの生産を始めた。悪臭の発生を抑えるために特別な菌
を添加しない。おがくずを適正な条件に保ち、効率よくかき混ぜられる構造が特長という
。使用後のおがくずは肥料になる。
正和電工のバイオトイレは、地元の旭山動物園のほか、富士山や厳冬期の道内外の屋外
イベントなどで使われ、性能が高く評価されている。これまでに、国内外で約4000台が出
荷された。災害時の断水時でも清潔に使える。
公衆バイオトイレは、7月24日の内覧会で関係者に完成品がお披露目された。4基を内蔵
したコンテナ(幅7・8㍍、奥行き2・06㍍、高さ2・35㍍)は5㌧トラックで運搬できる。一
般的な仮設トイレと違い、ゆったりとした室内で、便槽内におがくずが入っているほかは
水洗トイレと変わらない。
ドア前にセンサー付きLEDライトがあり、室内に暖房便座に手洗い器や鏡、衣服をかけ
るフック、小物を置く棚、汚物入れ、警報ベルを設置。女性も安心して使えるように配慮
した。1基当たり2000万円。
今回のバイオトイレは、旭川発明協会長も務める橘井敏弘社長(77)の発案。能登半島地
震で避難所のトイレが「汚い、臭い、暗い」と問題視されたことがきっかけだった。現在
、車椅子用も開発中で、橘井社長は「これで避難所の公衆トイレ問題はすべて解決できる
。移設も簡単。いつ来るかもしれない災害に備え、普段は公園などで使いながら備蓄して
ほしい」と話している。