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日本経済新聞に弊社が掲載されました 2017.4.13

ベトナム進出具体化 旭川企業が5月、協力覚書

 旭川の地場企業はベトナム進出に向けた取り組みを本格化する。5月に農業・環境分野で現地企業と協力する覚書に調印する予定。これに続き、土壌改良や農産物の洗浄機器など旭川企業3社が年内にも現地で調査事業を始める計画だ。旭川商工会議所の旗振りの下、旭川企業の海外展開が動き出す。
 進出先は北部のクアンニン省。首都ハノイから車で3~4時間、世界遺産のハロン湾に面し年間約300万人の観光客が訪れる。旭川と同省の関わりはバイオトイレ製造の正和電工が発端だ。建設コンサルタントの長大と組み2013年から国際協力機構(JICA)の事業として調査や実証実験を行っており、これまでに54台の自社製品を輸出した。
 この連携で培った人脈を生かそうと、昨年、旭川商工会議所や地場企業、旭川市の一行13人が同省を訪れ、農場や市場、行政機関や農業大学などを視察した。観光客やハノイの富裕層へ付加価値の高い農産物の需要が見込め、旭川の農業技術で生かせる感触を得た。
 5月の中旬に同省の行政機関や現地企業の幹部約20人が旭川入りして、同省の農業発展や環境保全で協力を進める覚書を企業間で交わす方針だ。旭川市も経済交流の促進で協力する。視察団の団長を務めた農業機械製造のエフ・イー(旭川市)の佐々木通彦社長は「旭川にとって新しい切り口になる」と話す。
 覚書の先には合弁で現地法人を立ち上げる構想がある。仲立ちをしてきた長大も参画する方向。現地法人は農業関連の技術供与や製品販売を行い、農産物は省都ハロン市内やアジア各国へも出荷することを想定する。
 具体的な企業活動も動き出す。旭川商工会議所は3月末、緑化工事のグリーンテックス(旭川市)と農産物生産・加工の谷口農場(旭川市)の共同提案をJICAに申請した。農業向け土壌診断・土壌改良技術の普及を図る事業規模3000万円の調査で年内にも着手する。
 グリーンテックスは調査後に独自の土壌改良材の輸出や現地製造を見据える。昨年の現地視察にも参加した佐藤一彦社長は「道内と違う病害虫の問題もあり、現地の事情を学びたい」と話す。谷口農場はベトナム南部で野菜栽培を手掛ける現地企業とハウス栽培や食品製造のコンサル契約を結び、すでに事業を始めている。谷口威裕社長はクアンニン省でも「将来、合弁会社で食品工場ができれば参画したい」と意欲的だ。
 また、エフ・イーは独自開発した、農産品の洗浄機や選別機を現地で使ってもらう民間技術普及促進事業を提案。事業規模は2,000万円で旭川商工会議所は4月末にJICAに提案する。旭川商工会議所は後続や裾野の広がりを期待する。新谷龍一郎会頭は「どんどん進出してビジネスチャンスをつかんでほしい」と話す。