お知らせ・ニュース News
メディア掲載情報
北海道経済18年8月号に弊社が掲載されました 2018.7.17

ベトナムで30カ月間バイオトイレ実証事業 結果は上々、より本格的な普及目指す

 正和電工が製造するバイオトイレや新浄化システムを活用してベトナムで30カ月にわたり続けられてきた環境改善技術の普及実証事業が完了。その結果が報告書にまとめられた。結果は上々で、今後は現地生産やより大規模な導入が焦点となる。

 トイレの問題は、世界的な課題。とくに都市化や人口増加が進む途上国・新興国ではなおも多くの国民が外でトイレを済ませており、環境や健康に与える影響が懸念されている。ベトナム、中国、フィリピン、インドなど多くの国が注目するのが正和電工の開発した「バイオトイレ」。オガクズと微生物を活用することで、大量の水や電力を必要とせずに排泄物を処理するシステムだ。
 ベトナムでは2013年から外務省の委託事業としてバイオトイレの試験的な設置が行われたのに続き、JICAが2015年11月~2018年4月の30カ月間にわたって、世界遺産のハロン湾があるクアンニン省で「バイオトイレや新浄化システムを活用した環境改善技術の普及実証事業」を行ってきた。システムの導入に加えて、環境教育活動を行いシステムの持続的な利用を推進することも目標に掲げられた。現地で設置された機器は3種類のバイオトイレが合計20台と、新浄化システムが合計11台。予算規模は約1億円。
 このほど事業の期間が完了したことを受け、報告書がまとめられた。それによれば、排泄物の処理は順調に進み、大腸菌の数も適正な水準にとどまった。また、現地の小学生向けに適切な排泄物の処理の必要性を教える環境教育も行われた。報告書は、30カ月間の実証事業が上場の成果をあげたと評価している。
 今後はより大規模な導入を目指すことになるが、資金的な事情もあり、現地生産による大幅なコストダウンが必要になる。ベトナムからは昨年、数人の技術者が正和電工の協力工場を訪れて溶接などの基本を学んでおり、現地生産ではこうした人材が活躍しそう。
 実証事業では課題も浮き彫りになった。たとえばベトナムでは洋式ではなく、日本の和式に似た便器が主流。このため正和電工ではさらなる普及を念頭に、両方の便器に対応し、メンテナンスも容易なバイオトイレ「Wm2-76」、その普及型「Wm2-55」を開発した。
 他のアジア諸国でも、バイオトイレ導入を目指す動きがある。中国では上海に近い寧波市の港湾施設が導入を検討しており、インドでは駅舎での設置に国有鉄道会社が関心を示している。
 これらの国でも都市部では水洗トイレの普及が始まっているが、問題は下水道や浄化施設の整備に莫大な国家予算が必要になるということ。人口増加や伝染病のリスクに、バイオトイレなら低コストで対応できると正和電工はみる。
 国内でもバイオトイレに対する関心は高く、7月中には岡山県議会超党派の視察団を組んで工場を訪れることになっている。