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中部経済新聞に弊社が掲載されました 2019.12.6

駆除シカやイノシシを微生物で分解 正和電工が処理装置提案強化

 正和電工は、駆除されたシカやイノシシなどの死骸を微生物の力で分解する処理装置の開発・販売を手掛けている。 微生物でし尿などを分解する「バイオトイレ」の特許技術を応用して開発。エゾシカ1頭を約2週間で骨だけに分解する。 このほど、東京都内で開催された展示会に出展し、製品をPRした。野生動物による農作物の被害に悩む全国の自治体に提案する。

 分解処理装置「CK-600型」は奥行き1.2メートル、横幅7.2メートル、高さ1.5メートル。価格は1,980万円。 中におがくずを入れて電動スクリューでかき混ぜると、おがくずに含まれる微生物が死骸を分解する。分解後に残るおがくずは、有機肥料として使える。
 分解の仕組みは、同社が20年以上前に開発したバイオトイレの技術を応用した。バイオトイレはおがくずに含まれる微生物がし尿などを分解処理し、においも残らない。 水を使わない環境にやさしいトイレとして全国の登山道や公共の場などに広く導入されている。 下水処理システムなどの整備が不十分な途上国にも導入実績があるほか、環境基準の厳しい各国からも注目を集めている。
 この技術を応用し、さまざまな商品開発に取り組んでいる。これまでに、段ボールを使った簡易型の災害時緊急用トイレや、生ごみの処理器などを開発した。 駆除シカ分解処理装置も自治体からの要請を受け、2012年に開発に乗り出した。 スクリューでかき混ぜる際に、骨により装置内部に傷がつかないよう強度を高めるなど、実証実験を基に改善を繰り返して製品化した。
 併せて、微生物が分解しきれない頭などの太い骨を処理する骨専用粉砕機も開発した。動物の骨を使うラーメン店などからも引き合いがあるという。
 本社を構える北海道では、エゾシカなどの野生動物が作物を荒らす獣害が深刻だ。駆除された動物の処理は従来、焼却するか埋めるかの2通りが主流だった。 同社の山上文直営業主任は、「焼却よりもコストを抑え、埋めるよりも短期間に処理できる新たな手法として提案したい」と力を込める。
 昨年から今年にかけて、同じく獣害に悩む福井県や宮城県など複数の自治体に導入されたほか、他県からも複数問い合わせがあるという。 販路拡大に向け、都内の展示会に出展し提案を強化している。