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朝日新聞に弊社が掲載されました 2019.1.7

流さず、臭わず、バイオトイレ 「水頼みには限界」方策探る

 水を流さなくていいトイレがある。正和電工が売り出す「バイオトイレ」だ。20年ほど前から、橘井社長が開発を重ねてきた。
 きっかけは母の介護だった。病院に見舞いに行った時、母が気まずそうに、おまるを隠した。「部屋ににおいがしないトイレがあればいいのに」と思った。
 使ったのはおがくずだ。し尿の9割は水分で、1割が有機物。わずかに無機物も含まれる。おがくずの中で水分を蒸発させれば9割が消滅し、有機物もほとんど微生物に分解されるという。
 排便後、スイッチを入れると鉄製のスクリューが回転し、おがくずと排泄物を混ぜる。同時に温度を約50度に保つヒーターが作動し、大腸菌を死滅させる。においの元も消滅、分解されるため、水洗トイレより臭わない。残る無機物を含むおがくずは肥料になる。
 完成第1号のトイレはソファ型にした。普通のソファに見えるが、座面をめくれば便器が現れる。20年ほど使っても、においはしない。

 この技術を応用して、現在までに約40種類のトイレを開発してきた。現在、年に200~300件の発注が国内外からある。設置場所は知床や富士山から、ベトナムの世界遺産ハロン湾まで様々。災害時に避難所で使える個人用トイレも作った。大雪山系黒岳に設置されたトイレは無電源式で、自転車のペダルをこいで、おがくずを混ぜる。
 「公共の水道は課題が多すぎる」と橘井社長。「水道を作るのは時間も、水もお金もかかりすぎる。大地にも限界があるので、水洗トイレを続けるのには限界がある」と話す。
これまで、アジアやアフリカだけでなく、ヨーロッパや中南米など世界中から、約50カ国の人たちが見学にきた。橘井社長は「日本より、世界はもっと早くトイレの問題を意識している」と感じている。「これから、必ず水のいらないトイレが必要になる。人類が求めるトイレを作っていきたい」