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夕刊フジに弊社が掲載されました 2021.12.8

水なし臭いなしの快適排せつ SDGsなバイオトイレ

 安全な水とトイレを世界中に──、国連が掲げる持続可能な開発目標(SDGs)の実現に向けて、水を使わず汚水も出さない「バイオトイレ」に注目が集まっている。
 北海道旭川市の製造業「正和電工」には中国やインドなど海外から注文が相次ぐほか、災害で断水が起きても使える非常用として、国内でも企業などからの問い合わせが増えてきた。「ドアを開けっ放しにしても、全くいやな臭いがしないんです」同社の橘井敏弘社長(74)が誇らしげに社内トイレを案内した。見た目は一般的な温水洗浄便座付きのものと同じだが、便器をのぞき込むと、穴の下にはおがくずとスクリューが見える。

 使用後にスイッチを押すと、便器の下にあるタンクの中で、排せつ物とおがくずが電動スクリューによってかき混ぜられ、臭いが抑えられる。し尿の9割を占める水分はヒーターで蒸発、自然発生する微生物が分解できない窒素やリンなどは、おがくずに吸収されてそのまま肥料として使える。メンテナンスは年に数回、おがくずを交換するだけだ。
 水洗トイレと違って汚水を出さず、高額な下水道施設がいらないのが長所で、一式100万円ほどから。下水の垂れ流しで地下水や川の汚染が問題となっている途上国でも導入しやすく、インドなどに輸出してきた。
もともと照明器具の卸問屋だった同社がトイレ開発に取り組んだのは、橘井社長が45歳のときがんで胃の大半を切除し食事を残すようになったのをきっかけに生ごみ処理に関心を持った。やがて興味は排せつ物に移り、研究を重ねて1995年、おがくずを使った独自のトイレを発売。ただ、当初はほとんど売れなかった。

 国内で注目が高まったきっかけは、2011年3月の東日本大震災。断水で水洗トイレが使えなくなり、悪臭や不衛生さが問題となると、非常用として企業や個人からの受注が増えた。
 さらに追い風となったのが国連のSDGs採択。世界的にトイレ問題が取り上げられるようになり、今では売り上げの約半分がバイオトイレ関連。「ようやく時代が追いついてきた。水を使わないトイレがこれからは世界の主流になる」と橘井社長は意気込んでいる。